外食中食市場における低糖質の人気メニューとは?
フードサービス部アカウントマネージャーの藤井です。
2012年頃からそれまでのカロリーを制限する方法に代わり、糖質の摂取量を抑える食事が注目を集めるようになり、現在も根強い人気が続いています。数年前までは、外食や中食で低糖質の食事を摂ろうとしても、なかなか選択肢がありませんでしたが、今日では多くの低糖質メニューが提供されています。この動きは日本だけでなく、米国でもケトジェニックダイエットとして、関連する市場規模は年々成長が見込まれています。
エヌピーディー・ジャパンが提供する外食・中食市場情報サービス『CREST®』で2022年1月から新しく追加された、外食や中食でもっと提供してほしいと思う機能・特徴(複数回答)として、最も多くの人が挙げたのが「低糖質/糖質ゼロ」でした(17%、2022年1-4月計)。糖質に配慮されたメニューは増加しているとはいえ、より一層の充実が望まれています。
属性別にみると、ダイエット目的で若い層の関心が高いのかと思いきや、特に比率が高かったのは50代以上の年配女性層。最も高い50代女性では25%に達しています。総じて男性では関心が低く、20代以下の若い男性では1割未満に留まります。
では、実際に糖質に配慮した商品として、どのようなものが人気なのでしょうか。エヌピーディー・ジャパンが提供するおすすめメニューデータベース*で、外食中食で食べたメニューの中で他の人にもおすすめしたいメニューとして挙げられたものの中から、糖質への配慮(低糖質/糖質オフなど)がおすすめ理由となっているメニューをみてみます(2020年1月-2022年4月計)。
最も多く挙げられたのが、パン類で、コンビニのブランパンシリーズをおすすめする人が多くみられます。
「糖質が2.2gしか入っていないのはすごい」、「低糖質を心掛けながらも炭水化物を取りたい時の代替商品になる」などパンでありながら低糖質である点が評価されています。さらに、「ソイプロテイン入りで、タンパク質の補給もできる」、「食物繊維が含まれていて、40年来の便秘が改善した」等、糖質だけでなく、たんぱく質や食物繊維の補給ができる点も評価されています。
次いで、多かったのがサラダチキン。男性からのおすすめが多く、「タンパク質が多く、低糖質、低脂質のため減量中によい」としてダイエット中の食事としても利用されている様子がうかがえます。
3番目に多かったのは、意外にもラーメン。糖質の代名詞とも言える麺類で?と思われるかもしれませんが、外食を中心に低糖質麺を使用した麺類が提供されており、「食感等は普通のラーメンの麺と変わらず、ラーメンを罪悪感なく食べられる」として人気となっています。
リンガーハットでは2019年より、プラス150円(2022年6月現在)で糖質を約30%オフした「低糖質ちゃんぽんめん」に変更ができますし、ちゃんぽんから麺を取った「野菜たっぷり食べるスープ」も提供されています。また、幸楽苑でも普通麺と比べて糖質60%オフとなったロカボ麺を2020年より提供しており、プラス100円(2022年6月現在)で選択することができるなど、様々なチェーンで取り入れる動きが見られます。
さらに、味の点でも「糖質オフなのにそれを感じさせないくらい美味しい」と言われるような高品質のものが提供されるようになっている点も人気の要因となっています。
糖質を制限する場合、たんぱく質や脂質が主成分の食品や野菜を多く摂ることになるため、食事にかけるコストは高くなりがちです。その点、低糖質のバリエーションを選択するためにプラスの費用が掛かっても相対的には費用が安く済み、価値に見合うと判断する人も多いと推察されます。
より一層の充実が求められている低糖質/糖質ゼロメニュー、機能面だけでなく、客単価アップの施策としても、検討する価値はありそうです。
*おすすめメニューデータベースとは?
最近外食中食したメニューの中で、他の人にもおすすめしたいメニューをその理由とともに自由に記入してもらった回答を集めたデータベース
プロフィール:
フードサービス事業部 藤井 真理子
市場調査会社を経て、2005年にNPD入社。食品メーカー、流通チェーンを担当。