コーヒー市場 ~男性客の「コーヒー離れ」~
【東京、2013 年5 月31 日】 様々な種類がある飲み物の中でも嗜好品と言われているコーヒー。多くの国で
飲用されており、最も身近な飲料の一つではないだろうか。今回のレポートでは、外食・中食市場における‘コーヒー市場’の動向をエヌピーディー・ジャパン㈱が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST*
https://www.npdjapan.com/service/food.html』から探ってみる。
コーヒーの食機会数は大幅減
図表 1 は、直近1 年(2012 年4 月-2013 年3 月度)とその3 期前(2009 年4 月-2010 年3 月度)を比較した食機会数の成長率である。3 期前に比べて直近の1年における「全食機会数」は-0.8%と微減であったものの、「ドリンク計(ソフトドリンク・アルコール含む)」は同-13.0%と大幅に下落している。さらに「コーヒー計」においては同-14.8%とドリンク全体と比べても、その下げ幅が大きいことが分かる。
【図表 1】 |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
3 期前にはコーヒーは男性比率が高かったが、直近1 年では男女比率がほぼ同率
次に、コーヒー飲用者の属性にどのような変化があったのかをみてみる。図表2 は、同じく直近1 年と3 期
前におけるコーヒー飲用者の性・年齢構成比を比較したものである。3 期前では男性53.0%、女性47.0%と、コーヒー飲用者は男性ユーザーが多いことが分かる。しかし、直近1 年では男性比率が下がり、男女比はほぼ同率となった。前述したように、コーヒー飲用機会は減少しており、特に男性ユーザーの減少が影響していると考えられる。
【図表2】 |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
購入先としてシェアの高いCVS とハンバーガー系FF でのマイナスが顕著
では、男性のコーヒーユーザーは、どの業態で特に減少したのか。図表3 は外食・中食市場における男性コ
ーヒーユーザーの主な購入先業態の変化である。直近1 年では、シェア上位の業態いずれにおいてもマイナス成長であることが分かる。特に、購入先トップの「CVS」(22.5%)は食機会数成長率が-21%と大幅に
減少している。次いでシェアが高い「ハンバーガー系FF」(15.6%)も、トップのCVS 同様に下げ幅が大きい
(食機会数成長率:-19%)。つまり、男性のコーヒーの主購入先であるCVS とハンバーガー系FF での購入機会数が大幅に減少しており、これが男性のコーヒー飲用機会数の大幅減の要因であることが分かる。
長らく続く不況やリーマンショックなどの影響で、低迷が続く外食・中食市場。自宅で作った飲み物を水筒に入れて持ち歩く“水筒男子”が増えたことも、外食・中食におけるドリンク市場の大幅なマイナス成長に拍車をかけたとも考えられる。また、冒頭でも述べたが、コーヒーは嗜好品であり、単に喉を潤すためのものではない。香りやゆったりした時間の演出も、今後再び男性客を取り込むためには、必要な要素なのかもしれない。
【図表 3】 |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
注)当該データにおける成長率とは、以下の計算式で算出。
* CREST とは
外食・中食市場において 「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1 年365 日、直接消費者から収集し、年間13 万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細は https://www.npdjapan.com/service/food.html