居酒屋市場 ~低価格居酒屋の消費者傾向とは?~
【東京、2013 年6 月25 日】 アベノミクスによって高級業態・チェーンに注目が集まっている。客単価が他業
態に比べて高い居酒屋は不調と言われて久しいが、最近の居酒屋業態の消費者動向に変化は訪れているだろうか。
今回のレポートでは、外食・中食市場における居酒屋市場の動向をエヌピーディー・ジャパン㈱が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST*https://www.npdjapan.com/service/food.html』から探っ
てみる。
低価格居酒屋(注1) の食機会数が減少
図表 1 は、2013 年第1 四半期(2013 年1 月-2013年3 月)と前年同期を比較した食機会数の成長率であ
る。居酒屋全体における食機会数は-4.3%と減少。さらに、低価格居酒屋においては、-16.2%と大幅に下落しており、低価格帯のチェーンを中心に依然として不調が続いていることが分かる。
【図表 1】 |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
平均客単価は上昇
次に、居酒屋における消費金額の推移をみてみる。図表2 は、2013 年第1 四半期とその前年同期の平均客単価を比較したものである。居酒屋全体は107 円のプラス(+4.0%上昇)、低価格居酒屋は101 円のプラス(+4.1%上昇)と、どちらも平均客単価は上がっている。食機会数が減少していることもあり、その分消費者は各食機会において、居酒屋の形態によらず、財布の紐を緩め始めたのかもしれない。
【図表 2】 |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
低価格居酒屋の消費者傾向とは?
では、居酒屋全体と低価格居酒屋における消費者属性には違いがみられるのだろうか。図表3 は2012 年
度(2012 年4 月~2013 年3 月)の性・年齢構成比である。居酒屋全体と低価格居酒屋を比較すると、低価
格居酒屋においては、女性29 才以下が14.7%、男性29 才以下が12.9%と、居酒屋全体と比べると若い年
代のシェアが高く、「安さ」は彼らとっては大きな魅力と考えられる。
【図表 3】 |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
続いて、喫食グループ構成比をみてみる(図表4)。低価格居酒屋は居酒屋全体に比べ、「友人と」が高く(足
+4.7 ポイント)、反対に「一人で」「同僚と」は低い値であった(それぞれ-2.8、-2.3 ポイント)。つまり低価格居酒屋は友人との気軽な飲食に使用されているようだ。
【図表 4】 |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
アベノミクスにより高級業態への注目が集まっているものの、居酒屋、特に低価格居酒屋にとっては、現状大きな後押しとはなっていないことが分かった。さらに、消費者のアルコール離れや昨今の家飲み傾向が根強いと言われる中で、低価格居酒屋は、若い人に特に好まれるメニューの開発や、友人同士で訪れやすいような店舗の雰囲気作りなどの工夫により、その集客傾向の強みを更に引き出せるのではないだろうか。
注 1)低価格居酒屋とは、弊社調査にて客単価が低いチェーンをまとめたもの(「和民」、「さくら水産」など)。
* CREST とは
外食・中食市場において 「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1 年365 日、直接消費者から収集し、年間13 万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細は https://www.npdjapan.com/service/food.html