外食・焼肉レストラン市場 ~焼肉レストランが消費者に選ばれる理由とは?~
【東京、2013年11月29日】 外食・焼肉レストラン市場は、2011年の東日本大震災による経済の停滞や福島原発事故に伴う消費者の食材に対する不信感による影響を受け、厳しい環境に立たされた。さらに同年4月に発生した生肉食中毒事件によって、消費者の「食の安心・安全」に対する意識はより一層高まっている。
今回のレポートでは、外食市場における焼肉レストラン市場(焼肉FR業態)における消費者のトレンドを、エヌピーディー・ジャパン㈱が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST*1』から探ってみる
焼肉レスランは食機会数*2の伸び率が減少傾向
まず、外食市場における業態別食機会数の伸び率の推移をみてみると、外食全体では直近1年は-0.3%と微減であったものの2年前には+1.8%増加であった(図1)。
各FR(ファミリーレストラン)業態に目を向けると、洋風および中華FR業態の食機会数の伸び率は、2年連続でプラス成長を続けており好調である。一方で和食FRおよび焼肉FR業態の食機会数の伸び率はここ2年減少し続けており、特に焼肉FRを見ると直近2年で-5%超の大幅な減少が続いている
【図表1】 外食市場 業態別 食機会数の伸び率(%) (2011年10月 – 2013年9月) |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
焼肉レストランの食機会数は増加に転じる
では、食機会数の伸び率が減少傾向である焼肉FR業態の平均客単価は、どのように推移しているのだろうか。
外食全体の1人当たりの平均客単価の伸び率は、09年10月~翌年9月の1年間以降3年連続マイナス成長を続けている(図表2)。しかし、直近1年では+0.9%微増に転じ、消費者の外食への消費マインドが垣間見られる。
焼肉レストラン市場に注目すると、11年4月の生肉の集団食中毒問題の影響からか10年10月以降2年連続で減少しているが、直近一年では業態平均を上回る+2.4%増加したことがわかった。
【図表2】 外食市場 業態別 1人あたりの平均客単価伸び率(%) (2008年10月-2013年9月) |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
消費者が焼肉レストランを選ぶ理由とは?
それでは、今年に入り焼肉FR業態の一人当たりの平均客単価が増加に転じたのは、消費者のどのようなニーズをつかんだのだろうか。
図表3は喫食者が焼肉レストラン業態の店舗を選んだ理由について時系列で示したグラフである。
【図表3】 業態別 店舗選択理由トレンド(%) (2007年10月-2013年9月) |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
外食全体と焼肉レストランを比べると、どちらも最も多く挙がるのは「利便性」や「価格」である。その中でも直近2年の推移に注目すると、焼肉レストランは「自分の好きなメニューがある」ことを選択理由に挙げる傾向が全体に比べて強い。
確かに、業績が好調な焼肉チェーンの取り組みをみると、品質にこだわった食材の品揃えや食べ放題メニューの充実など、価格だけでなく消費者により満足してもらうための企画・開発の取り組みがうかがえる。
このように消費者が求めるメニューやサービスの提供ができたことが、焼肉レストランの平均客単価を押し上げた一つの要因といえるだろう。
外食全体のトレンドと比較すると、消費者が焼肉チェーン店に足を運ぶ回数はここ数年明らかに減少傾向である。しかしその中でも各FR業態と比較すると、消費者が焼肉レストランを選ぶ理由は、「利便性」や「価格の安さ」だけでなく「好きなメニューがある」ことも重要なポイントの一つであることがわかった。
2011年以降厳しい環境に立たされた焼肉レストラン業界だが、来店する消費者の求めるメニューやサービスをいかにPRし満たせるかが、平均客単価を今後さらに押し上げ成長できる一つのポイントになるかもしれない。
*1 CREST とは
外食・中食市場において 「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1 年365 日、直接消費者から収集し、年間13 万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細は https://www.npdjapan.com/service/food.html
*2 食機会数とは
外食・中食を利用した延べ食機会(朝/昼/夕/間食)数