外食市場における女性のトレンド ~女性比率が高いFR業態の特長とは?~
【東京、2013年12月24日】 2013年7月の日本経済新聞によると、女性の有業率は07年の調査から3ポイント高まり69.8%と過去最高を更新した。働く女性が増えることで、家計所得が増え消費が喚起されることから、外食・中食市場では、いま女性の動向に注目が集まっている。
今回のレポートでは、外食・中食市場における女性の喫食トレンドについて、エヌピーディー・ジャパン(株)が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST*1』から探ってみる。
女性は男性より外食にお金を使っている。
まず、2013年の外食・中食市場における一人当たりの平均客単価(以下、客単価)を男女で比較してみる(図表1)。
これをみると、外食・中食全体では+57円男性の客単価が女性より高くなっており、中食でも同じく男性の客単価が+45円高かった。その一方で外食に注目すると、女性の客単価が男性よりも高く(+30円)、1,120円であった。
【図表1】 外食・中食市場 一人当たり平均客単価(円) 2013年 (2013年1月~10月) |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
外食市場はファミリーレストランの女性比率が大きい
では、外食市場で客単価が高い女性はどのような業態を利用しているのだろうか。
図表2は、外食市場における業態別の性年代比率の推移を直近3年で比較したものである(図表2)。
【図表2】 外食市場 業態別 性年代比率の推移(%) |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
これを見ると、全体に比べてファミリーレストラン(FR)業態は、その他業態に比べても女性比率が高い傾向であることがわかる。さらに直近1年の外食・業態別の客単価を見ると、FR業態は1,093円で、前年比で+9円増加している。
確かに最近のFR業態のメニュー戦略を振り返ると、FR御三家のロイヤルホストの上半期ヒット商品「熟成ロイヤルアンガスリブロースステーキ(1,869円税込~)」や、デニーズの冬のスペシャルメニュー「ドライエイジングビーフ牛みすじステーキ(2,290円)」など、各社高品質・高額メニューを次々と投入しており、客単価は以前より上昇傾向に向かっているようだ。
夕食で女性がFR業態を利用する傾向が高まる
外食市場においてFR業態が女性のシェアを伸ばしていることがわかったが、いったい女性はどのような機会にFR業態を利用しているのだろうか。
図表3は外食女性市場におけるの業態別の利用時間帯シェアを示したものである(図表3)。
【図表3】 外食女性市場 業態別 利用時間帯シェア(%) (2010年11月~2013年10月) |
エヌピーディー・ジャパン㈱ JapanCREST® より |
直近1年に注目すると、FR業態は客単価が高い「夕食マーケット」におけるシェアが全体に比べて高く(+14.1ポイント)、直近3年で増加傾向(+3.6ポイント)である。
さらにCRESTの分析結果によると、女性がFR業態の店舗を選ぶ理由として、「利便性」や「手頃な価格」よりも、「料理のおいしさ」や「好きなメニューがある」「子連れでも入りやすい雰囲気」への支持がここ3年で伸びていることも特徴である。
確かにデニーズの大久保新社長は2011年に就任後、まずQSC*2を徹底しリピーターを増やすことに取り組んだが、その流れはその他大手FRチェーンも同様であり、それが女性のFR利用率の増加に寄与したといえよう。
この結果から、女性は「おいしい・好きなメニュー」や「快適な店舗環境」を求めて夕食の時間帯にFR業態を利用する傾向が高まっており、それが外食市場のその他業態と比べてFR業態の客単価が高い要因と考えられる。
一般的に女性は消費志向が高く、男性より新しい商品・メニュー情報に敏感ですぐに実行に移す傾向があると言われるが、外食市場でもこの女性ターゲットからの支持は重要なポイントの一つとされている。
今回のレポートから、最近のFR業態における「メニュー戦略」や「店舗環境への取り組み」が、客単価の高い「夕食マーケット」で女性ターゲットの利用率を向上させたと分かったが、その他業態でもこのような取り組みは女性ターゲットを惹きつける重要なポイントの一つと言えるのではないだろうか。
*1 CREST とは
外食・中食市場において 「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1 年365 日、直接消費者から収集し、年間13 万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細は https://www.npdjapan.com/service/food.html
*2 QSCとは
Q:クオリティ、S:サービス、C:クレンリネスの頭文字で飲食店の基本姿勢とされている。