パスタ市場~成長する中食をけん引する男性。夏の人気メニューを探る~
【東京、2014年6月30日】 イタリア料理を代表するメニューであり日本でも人気メニュの一つである「パスタ」。2013年にはナポリタンブームが起こり、中高年には懐かしく、若者には新しいパスタメニューとして人々の心を掴んだことは記憶に新しい。
今回のレポートでは、このパスタメニューのトレンドについてエヌピーディー・ジャパン(株)が提供する外食・中食市場情報サービス「CREST*1」から探ってみる。
パスタの食機会数*2は伸びている
まず、直近5年の外食・中食市場におけるパスタの食機会数の伸び率をみると、2013年は5年前と比べて+7.1%増えている(図表1)。
【図表1】 2013年 外食・中食市場 パスタの食機会数の伸び率 |
一方、外食・中食市場全体における食機会数の伸び率が-0.4%と微減であることから、パスタメニューの食機会が伸びていることがうかがえる。
パスタの中食比率が増加傾向
それでは食機会数が伸びているパスタにおける外食・中食比率はどう推移しているだろう。
図表2は2013年におけるパスタの外食中食比率である。
【図表2】 2013年 パスタの外食中食比率 |
2013年のパスタ市場全体をみると、外食比率は67.7%と高い。その一方で5年前からの伸び率に注目すると中食が+5.2ポイント増えており、パスタは中食で喫食される機会が増えていることがわかる。
ちなみにCRESTでさらに分析をすると、中食・パスタ市場で最も大きなシェアを占める業態はコンビニ(2013年59%)だが、そのシェアは5年前と比べて減少傾向で、続くスーパー(2013年30.1%)がコンビニを追い5年で+6.2ポイントと大きくシェアを伸ばしていることは興味深い。
消費者の“人にも薦めたい!”と思うメニューを毎日調査する「おすすめメニューデータベース」*3によると、2009~2013年の間にスーパーの冷凍パスタがおすすめされた件数は114件で、2009年15件から2013年は39件に増えている。このことから中食でパスタが伸びる要因の一つとして、冷凍食品のパスタの人気が高まっていることが考えられよう(特典データ)。
パスタメニューは全体の約7割が外食されるなかで、スーパー等で中食される機会は直近5年で伸びていることから、近年消費者が自宅でも手軽にパスタを食べたいというニーズが見られると言える。
男性に好まれるパスタ。夏は「冷静パスタ」が人気。
パスタメニューは中食の機会が伸びていることがわかった。では「誰が」「どんなメニューを」選んでいるのだろうか。
まず、そもそも中食全体における男性比率は2013年53.7%だが、季節別にみると夏の男性比率は54.4%となる。さらにパスタメニューに特化してみると、夏の男性比率は55.3%(2013年)と全体と比べてさらに高くなることから、中食のパスタは夏シーズンに男性により好まれる傾向であることは興味深い。
次にパスタのメニュートレンドに注目してみる。図表3はパスタ市場における外食・中食で好まれるメニューについて季節別*4に分析している(図表3)。
【図表3】 2013年 外食・中食市場 季節別 パスタのメニュートレンド |
外食・中食全体では、シーフード入りパスタが最も人気で、ミートソース、カルボナーラが続いて上位を占めている。一方中食ではミートソース、ナポリタン、たらこ・明太子パスタの人気が高い傾向でシーフード入りパスタの比率は外食・中食全体と比べて高くない。
さらにその中食において、特に夏シーズンにシェアが高いのが「冷製パスタ」である。外食・中食全体では3%のシェアに留まるものの、中食の夏シーズンに注目すると12%のシェアを占め第4位のメニューであることは注目に値する。中食のパスタといえばレンジで温めて食べるイメージだが、夏はサラダ感覚でソースとあえる食べ方が消費者にうけているのかもしれない。
パスタは老若男女幅広い層に人気のメニューであるが、ターゲット層の他にも、季節によってトレンドが変わっている。これから暑くなる季節に合わせて、各社がどのようなメニューに力を注ぐのか注目である。
*1 CREST とは
外食・中食市場において 「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1 年365 日、直接消費者から収集し、年間13 万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細は https://www.npdjapan.com/service/food.html
*2 食機会数とは
外食・中食を利用した延べ食機会(朝/昼/夕/間食)数
*3 おすすめメニューデータベースとは
約 10,000/月ものサンプル数を誇る、消費者が食べ「他の人にも薦めたい!」と思ったメニュー、購買店、その理由を収集し “生の声”をお届けする情報サービスです。メニューュー開発の現場から食材を扱う提案営業の場面まで、あらゆるシーンでご活用いただけます。
詳細は https://www.npdjapan.com/service/food.html
*4 季節別とは
今回の分析では、CRESTの月次データを下記の様に分けて季節を分析をしています。
・ 2013 年冬 : 2012年12月~2013年2月
・ 2013年夏 : 2013年6月~8月