朝食市場 ~伸びるソトアサ層に選ばれるハンバーガー系FF~
【東京、2014年8月29日】 厚生労働省が発表した「平成24年国民健康・栄養調査」によると、日本の朝食欠食率は1975年から2011年まで増加傾向だったが、2012年に初めて減少に転じ、欠食率総数は10.8%まで改善された。同2012年には、“ニューヨークの朝食の女王”と評されるレストラン「サラベス」が日本に初上陸し、今夏には3店舗目の品川店をオープン、8月6~12日には期間限定で京都にも出展したようで好調な様子が伺える。
今回のレポートでは、朝食市場についてエヌピーディー・ジャパン(株)が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST*1』から探ってみる。
朝食市場における外食の食機会比率が増加
まず、朝食市場(6~10時台)の外食・中食比率をみてみる(図表1)。
【図表1】 2013年 外食・中食比率 |
2013年における全体の外食比率は44.4%、朝食市場に絞ると外食比率は25.7%に留まり、朝食は中食比率の高い食機会と言える。しかしながら食機会数の伸び率に注目すると、全時間帯では+2.1%増、朝食の時間帯では+11.4%増加しており、消費者が朝食で外食する機会が増加傾向にあることが分かる。
バーガー系、FF、セルフ型カフェがシェアを伸ばす
成長する外食・朝食市場において、どんな業態がシェアを伸ばしているのだろうか。外食・朝食市場における業態シェアをみると、ファストフード(以下FF)業態*3が2013年49.4%と最も大きなシェアを占め、また食機会数も2009年から+25.9%増加しており好調である。さらにより細かく業態をみてみよう。
図表2は外食・朝食市場における業態シェアを分析したグラフである(図表2)。
【図表2】2013年外食・朝食市場 業態シェア |
FF業態をさらに詳細に分析すると、主にハンバーガー系FF、牛丼系FF、セルフサービス型カフェが2009年からシェアを伸ばしていることがわかる。
また外食・朝食市場を性年代別に見ると、男性比率が6割を超えるマーケットであるものの、近年女性比率が増加傾向であることが特徴だ。さらに、その女性比率を押し上げるキーとなっているのが、女性15~29歳であることは興味深い(特典データ)。
利便性よりも、メニュー満足度と店の雰囲気
外食・朝食市場が、ハンバーガー系を中心としたFF業態と若い女性にけん引され成長していることがわかった。では伸びる朝食市場で食機会数を伸ばしている女性に選ばれるポイントは何だろう。図表3は朝食を外食した際の店舗選択理由を男女別に分析したものである(図表3)。
【図表3】 外食・朝食市場 男女別 店舗選択理由 |
全体をみると、店舗を選ぶ上で重要なポイントは「立地」「価格」「メニュー」であった。さらに男女別に比較すると、男性と比べて女性は「料理のおいしさ」「好きなメニュー」を重視する傾向がみられた。NPDが調査しているおすすめメニューデータベース*4からさらに分析すると、消費者が朝食で支持するメニューは各社が提供する朝限定メニューが中心で、そのおいしさやコストパフォーマンスの良さが評価されていた。
近年、朝食を家以外の場所で食べる“ソトアサ層”が増えはじめているようだが、そのニーズは「手軽さ」「ゆったり」「贅沢」「朝活」など多様である。この様々な喫食シーンにいかに応えられるかが、各社の更なる客数そして売上増加の重要なビジネスチャンスの一つとなるのかもしれない。
*1 CREST とは
外食・中食市場において 「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1 年365 日、直接消費者から収集し、年間13 万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細は https://www.npdjapan.com/service/food.html
*2 食機会数とは
外食・中食を利用した延べ食機会(朝/昼/夕/間食)数
*3 ファストフード業態とは
CRESTでは以下業態をまとめてファストフード業態と定義しています。
*4 おすすめメニューデータベースとは
約 10,000/月ものサンプル数を誇る、消費者が食べ「他の人にも薦めたい!」と思ったメニュー、購買店、その理由を収集し “生の声”をお届けする情報サービスです。メニューュー開発の現場から食材を扱う提案営業の場面まで、あらゆるシーンでご活用いただけます。
詳細は https://www.npdjapan.com/solutions/food/rmd/