外食麺市場~増える一人の外食シーンで伸びる「ラーメン・ぎょうざ店」~
【東京、2014年9月30日】 “ハンバーガー。牛丼。あしたは・・・日高屋。 駅前で待ってます”というインパクトのあるTVCMを覚えているだろうか。これは日高屋のCM(2012年)である。ラーメン・ぎょうざ店業態の大手である同社の業績は、営業利益・経常利益とも11期連続で過去最高益を更新(2014年2月時点)しており、この躍進は注目に値する。
今回のレポートでは、外食における麺市場についてエヌピーディー・ジャパン(株)が提供する外食・中食市場情報サービス『CREST*1』から探ってみる。
麺メニュー*2の外食比率は約7割
まずはじめに、外食市場における業態別 食機会数の伸び率を2009年と2013年で比較してみる。
【図表1】 2013年 麺メニューの外食・中食比率 |
2013年における全体の外食比率は44.4%。麺メニューに絞るとその外食比率は68.5%で、麺メニューは全体と比べて外食される比率が高いメニューであることがわかる。
「一人で」の外食が増える一方、「友人と」は減少
では、外食時どのようなシーンで麺メニューは選ばれているのだろうか。図表2は、2013年の外食・麺市場における喫食グループのシェアグラフである(図表2)。
【図表2】2013年外食・麺市場 喫食グループシェア |
図表2をみると、麺メニューは「一人で」の比率が39.2%と最も高く、09年比で+6.5ポイント増加しておりメインユーザーといえる。一方「同僚・友人と」は23.8%で2番目にシェアが大きいものの、09年から-5.1ポイント減少。さらに3番目にシェアが大きい「配偶者・恋人と」は13.4%で、こちらも09年比-1.1ポイント減少している。
このことから、麺メニューは一人で外食をするシーンで選ばれる傾向があり、さらに09年から一人で外食する客層の比率は増加傾向であることがわかる。
男女の一人需要を取り込む「ラーメン・ぎょうざ店」
これまでの分析より、麺メニューは一人で外食する際に好まれるメニューであることがわかった。それでは消費者が外食時一人で麺メニューを食べる時、どんな業態が選ばれているのだろうか。図表3は2013年の外食・麺市場における、一人利用時の別業態シェアを男女別に分析したものである(図表3)。
【図表3】 2013年 外食・麺市場における一人利用時の男女別業態シェア |
まず全グループ計をみるとラーメン・ぎょうざ店のシェアが最も大きく、続くそば・うどん店と合わせて44.8%を占めている。その中でさらに喫食グループ内でシェア最大の「一人で」の食機会を男女別に見てみると、男性はこの2大業態で62.6%を占め、全体と比べて17.8ポイントも大きいことが特徴である。
また女性における2大業態比率は44.8%と全体と同様であった。確かに女性の特徴としてイタリアンレストランの比率が全体や男性と比べ高い傾向ではあるものの、それ以上に2大業態のシェアは大きい。
このことから、ラーメン・ぎょうざ店とそば・うどん店は外食時「一人で」利用する客層に男女問わず選ばれているといえよう。
外食・麺市場のメインユーザーである「一人で」来店する男女それぞれの細やかなニーズを捉えることが、今後麺メニューで各社がさらに来店数を増やす上で重要なポイントの一つだといえるだろう。
*1 CREST とは
外食・中食市場において 「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを、1 年365 日、直接消費者から収集し、年間13 万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービスです。(海外各国版もご用意)
詳細は https://www.npdjapan.com/service/food.html
*2 麺メニューとは
JapanCREST® では、麺類はじめあらゆるメニューを調査しています。今回は記事構成上、「うどん」「そば」「冷麦」「その他和風麺類」「スパゲッティ」「ラーメン・ちゃんぽん」「焼きそば」「冷やし中華」「即席めん」「その他麺類(ビーフン)類」を抽出し、麺市場と定義し分析しています。
*3 食機会とは
外食・中食を利用した延べ食機会数(朝/昼/夕/間食)数