外食産業への支出増えるも来客数伸びず。変わらぬ消費者の内食志向が影響か。
【シカゴ、2015年6月3日】
小売店/消費者パネル調査の世界的なリーディング・カンパニーであるNPDグループによると、今年4月末時点での北米外食産業は、この1年で売上高こそ3%上昇したものの、来客数については横ばいであったと報告。 外食産業は引き続き内食志向の消費者を呼び戻すのに苦心している模様。
NPDのフードサービストラッキング調査によると、現在5回中4回は内食であり、内食回帰の傾向はここ数年継続して観察されているとの事。
売上高の上昇は食材や運営コストの上昇が価格に転化されているのが主因。 通常、外食にかかる費用は内食に比べて3倍位だが、消費者の外食と内食の出費の割合はここ数年半々位である。
外食と中食の出費割合はインフレ率に左右され、片方のインフレ率が高いともう片方に若干有利に働くという性質を持つ。 2014年の消費者1人当たりの1回の外食平均支出額は6.96ドルで、内食1回の推定平均出費額は1人当たり2.31ドルであった。米国国勢調査は今年、史上初めて外食産業が食料品小売店の売上を上回ったと発表したが、その結果には大型スーパーマーケットは含まれていなかった。
原油価格の下落にもかかわらず、外食産業への来客数は依然停滞している。過去1年の1人当たりの年間の外食回数は190回であり、前の年に比べて3回減少した。外食産業を多く利用するのは若い男女であるが、リーマンショック以降の景気後退局面で、ミレニアル世代は外食利用を大幅に抑制、特に家族のある年齢25から40歳の層では過去数年で1人平均50回以上減少している。更に年齢18から24歳の層では2007年と比較すると33回減少している。NPD外食産業アナリストボニーリッグスによると、現状は外食企業間のシェアの奪い合いであると同時に、内食との食費支出の奪い合いでもあると結論付けている。今後食品メーカーや外食チェーンが成長するためには消費者の今求めるものを明確に理解し、それに的確に答えることが重要である。
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